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Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
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政治家の資質

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政治家の資質

 

 水泳の池井選手が白血病に罹患しているとの報道に驚いている。最初、「えっ」と驚きの声をあげてしまった。自宅だったので、素直な反応が出てしまったのだろう。その後すぐに、若いのに気の毒だと、熱いものがこみ上げてくるのを抑えた。

 「なんて理不尽な」と私が続けると。すぐに家内から、白血病といっても、現在の医学では不治の病では無いと聞かされた。

 確かに、俳優の渡辺謙氏も白血病を完治されたとのこと。今は、医学を信じて、最善を尽くすことが大事だろう。しかし、それでも、まだ幼い、しかもオリンピックを前にしたスポーツ選手には、厳しい試練であるに違いない。だが、どんな理不尽と思えることも、それを試練だと受け止め、最善を尽くせば、必ず、深い愛と深い幸せが与えられると、私は信じている。

 さて、そんな中、オリンピックを担当する政治家から、唖然とする発言がでた。その発言に対し、誤解を恐れずに言えば、その政治家自身は、悪気はなかったと思う。しかし、悪気がなかったでは済まされないことがある。つまり、政治家として、しかるべき発言とは思えない、大変お粗末なコメントとだったということだ。

 私も家族からは、発言をたしなめられることが多い人間である。それを毒舌と高を括っている。しかしながら、その大臣の発言は毒舌という次元ではなく、教養と見識を問われる問題だと、多くの人が感じているに違いない。

 あえて言えば、政治家たる者、志と信念があれば、多少毒舌でも良いと、私は思っている。だが、その裏には深い人間洞察がなければならない。つまり、国の立法府の構成員としての政治家たる者の発言は深い人間洞察に基づいていなければならない、と私は考えている。また、政治家には、社会や人間に対する「愛」そして「仁」が基本になければならないだろう。ただ、失言をした政治家に「愛」がないと言えば、その家族がかわいそうだと思うし、実際は優しいところや良いところがあるに違いない。では、なぜ今回のような失言をしたのだろうか。

 ストレートに言えば、教養、見識、そして想像力に乏しいということだ。それは国会議員のみのことではない。県議会議員や市会議員などを見渡したら良いと思う。ただし、政治家、個々人の問題が、その本質ではないと思う。その本質は、日本の政治家を選出する側の見識と選出の仕組み自体が未成熟なのではないかと思っている。

 

【政治家の資質】

 さらに口幅ったいことを書くが、政治家の仕事とは、本来、社会システムやルール(法律)を修正したり、作ったりすることだと、私は考えている。そのシステムやルールは、国の伝統や良い文化を守ること。また、将来世代と国際社会に対応する国家と社会を牽引する人材育成の骨格と筋肉、そして精神を作る基盤だと思う。文化や教育は、精神を作る器官のようなものだ。また、21世紀における国家の精神とは、その骨格と筋肉、そして技術、技能を使い、高い人間性を、歴史(人類史)に表現していくことだ、と私は言い換えたい。つまり、政治家は国の骨格と筋肉、そして精神と技術、技能の基盤を整備するのが政治家の仕事であるというのが私の考えである。

 そのように定義、例えれば、政治家とは、国家を運営、経営するためのルール、システムをどのように改善すれば良いかを、国民とともに協議、提案すること。そして、より良いルール、システム構築に向けた改善を他の政治家との合議により、実現しなければならないのである。

 それには、まず「より良いシステム、ルールが必要だ」という「志」がなければならない。同時に「より良いシステム、ルールの構築と修正を実現するのだ」という「情熱」がなければならない。さらに、古今東西の人間の営みの普遍性を「看取する力」が必要だ。そのような基本的な政治家の資質を有する者に対し、国民は政治家として扱い、物心両面の支援をするものだと思う。そのような関係が、政治家と国民のあるべき姿だと、私はイメージしている。大変に稚拙な例えだとは思うが、それが私の政治家と国民、そして民主主義のイメージだ。

 

【国民の資質】

 今年、参議院選がある。今回の政治家の失言のみならず、これまでの政治家の失言の本質は、政治家個人の資質の問題であると同時に、私たちの資質の問題だと言いたい。つまり、これまで起こった数々の政治家の問題は、国民一人ひとりに対し、民主主義の国民としての資質を問われているのだと思っている。要するに、今回のことは、私たちに民主主義を実現する資質があるかどうかの試金石でもあるということだ。言い換えれば、私たちが、いかに社会システムならびに民主主義を理解しているか。また、民主主義に対する自覚が問われている、ということだと言っても良い。おそらく、多くの日本人は、社会が壊滅的なところまでいかなければ、それを気付かないかもしれない。しかし…。これから私は、そんな視点で、与党のみならず、それを批判する野党をも見て行きたいと思っている。


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