増田道場・基本護身術〜極真会館増田道場会員用、デジタル空手教本より
増田 章より(記:令和5年6月25日)
2022年以降、極真会館増田道場では、極真空手の基本伝統技の活用を示す、基本護身術の修練を行います。その後、徐々に拓心道空手に含まれる投げ技や逆技、そして武器術を修練していきます。
誤解を恐れずに言えば、私は「武道とは護身術だ」というのではなく、本来はいかに「相手を確実に殺傷する」か、という意識が原点だと思っています。しかし、その「相手を確実に殺傷する」ということ際しては、「相手を殺傷することに対し、短期的のみならず長期的に見て、意義や意味があるか」を瞬時に判断しなければなりません。なぜなら、そのことに対する洞察と見通しと覚悟がなければ、迷いが生じ、自己が殺傷される可能性が高くなります。また、恨みによって報復されたり、自己の存在価値を喪失する可能性が高くなるからです。
これ以上は本サイトでは書きません。すでに人に聞かせる言葉としては不適切な言葉を用いています。しかしながら、本当の武道は、その部分を明確に意識できる感性を有する者にしか宿らない、一種の悟りのようなものなのです。また、その感性があるからこそ、真の武道人とは、普段に自己の心を制することを目指す、護身的な意識を有する者となるのです。
それゆえ、私は護身術を護心術と書き換えて伝えます。つまり、身を守るとは、不断に心を守ることに他ならないのです。そのことが拓心道空手の心を制することの意義と意味です。まずは、格闘という状況のみならず、あらゆる事態を想定し、その対応を考えることが重要だと思います。しかしながら、多くの人が瑣末な技を大事とばかりに、修練に明け暮れ、またその技を見せびらかします。そのようなあり方は、拓心道空手の哲学とは反します。また極真会館増田道場の方向性とは異なるものです。
最後に、私は極真空手に拓心道空手を合体させることによって、武術の原点、そして武道のあり方からは、逸脱した空手の軌道修正を目指しています。そして、空手の修練がより普遍的な道に繋がるよう、その理念と修練体系を修正し続けます。その弛まむ修正という行為が修行であり、修練の本質だと思っています。
会員の皆さんにおかれましては、まずは「古伝極真空手・逆技」、「基本護身術」を習得してください。その後、意識が高くなった方々には、拓心道空手の修練をおすすめします。