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Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
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自己を活かし、他者を活かす〜デジタル空手武道通信第43号&44号 編集後記

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自己を活かし、他者を活かす

 

「今年は1年過ぎるのが早かった」。私はそう感じている。聞くところによると小学生までが同様に感じているらしい。それがコロナウィルスの影響であることはいうまでもない。

 

 なんとかコロナウィルスに罹患せずに仕事を終えることができた。感謝だ。だが、これからどうなるかはわからない。今、1日1日、感謝しながら生きていると言ったら大げさに聞こえるだろうか。

 

 今回のコロナパンデミックに対して、私が直感したことは「原点に立ち戻る」ということだ、と以前にも書いた。その思いを念頭に日々やれることを行なっている。当初、その行動は周りを困惑させるかもしれないと思った。だが、私の原点回帰の核心は、「自分に責任を持つ」。同時に「自分の門下生、家族に責任を持つ」ということである。そのことを達成するため、私は自分の空手を最高のものとすることに邁進するのだ。だが、価値観は多様であるから、その方法は様々だと思う。私にとって最高のもの。誤解を恐れずに言えば、それは空手の修練を行う者(愛好者)に欲しい何かを提供することではない。空手を修練する者に「道」を感じさせることにある。

 

 ここでいう「道」とは、自分を磨き、最高の自己へ到達させる理法と言ってもよい。私は自らが道を追い求めつつ、それを皆に伝えたい。 そのようなあり方は、目先の利益を得たいと思う人間には理解されないかもしれない。ゆえに、その思想・価値観を取り入れようと思わないだろう。もちろん、人が欲しがるような「もの」をつくり、それを提供することは悪いことではない。

 

人生において大事な「もの」

 しかし、私は我々はすでに人生において大事な「もの」を持っている。外に「もの」を求めるな、と言いたい。だが、その大事な「もの」は目には見えない。そのように言った後で矛盾すると思われるかもしれないが、私は今、「ものつくり」をしている。ただし、その目的は、「より善いもの」を想像する喜び、かつ「より善いもの」をつくる過程において感性が活性化される喜びを得ること。さらに「より善いもの」が現実の形になった時の喜びが至福の感覚だと思うからである。決して「もの」を得ることが目的ではない。言い換えれば、「ものつくり」によって感性が活性化し、自己が高まる感覚が至福の喜びなのだろう。私が「目に見えない大事なもの」と先述したのは、一人ひとりの身体に宿る感性だ。だが、その感性は自らの意志で引き出し、かつ磨き上げなければ高まらない。つまり、私の達成したいことは、一人ひとりの感性を高めることに役立つ武道を創りあげることである。

 

 最後に私が極真空手を基盤に作り上げているものは、拓心武道(心を高め身体を活かす武道)という感性を磨く修練方法と武道哲学である。それを一言で言えば、「全てを活かすこと」だ。

 

「自己を活かし、他者を活かす」。それが出来たとき、道を得たと言っても良いだろう。

 

 

 

 


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