【巻頭言】
本号の巻頭言は、組手交流会の開会挨拶の動画とします。短くと思っていましたが、記念すべき第1回の道場対抗組手交流会であること。新しく採用したTSアドバンス方式(ヒッティング方式)の理念を全ての会員道場生に伝えるべく長くなりました。稽古は稽古に対する考え方が重要です。その考え方によって、得られるものが全く異なって来ると言っても過言ではありません。今回、私の空手武道哲学を伝えるために、65歳の中村雄一初段に試合参加をお願いしました。私の考案した TS方式なら、怪我の心配も少なく、中村氏の空手修練のプラスになると判断したからです。また、私を含めた、多くの壮年の方々に勇気を与えると思ったからです。TS方式の稽古を始めて2〜3ヶ月足らずで、しかもコロナの問題もある中、本当にありがとうございました。私の期待通り、みんなに勇気を与えたことと思います。
【本当の道】
現在、私は伝統的な極真空手の組手方式を一旦、棚上げしようと考えています。そして、極真空手を進化させるために、今の内にやっておこなければならないこととして、組手に対する意識革命に取り組みます。それは極真空手の原点に立ち戻ることであり、同時に極真空手を進化させることだ、と私は思っています。おそらく、今回の試合映像を見て、「強そうじゃやない」「大したことはない」と表層だけをみて言う人がいるかもしれません。そのような人間は本当の「道」が見えない人です。本当の道とは目には見えません。そして目に見える道は本当の道ではない、と私は考えています。また、人の後を追い、また人の真似をして生きるだけでは、本当の道は見えません。かつての私も他者の作った価値を追い求めてきました。しかし、本当に大事な事は自分の身体と心を活かすための技術と技能を持つことだと気づきました。その時から、自他一体の理法を我がものとしたいと願ってきました。私には分不相応、かつ、高すぎる理想かもしれませんが…。
【「道」を体得する手段】
TS方式は一人ひとりが自己の可能性を開拓し、最高の自己を作り上げるために必要な「道」を体得する手段です。そう私はイメージしています。とにかく、すぐには人の気をひくような結果が現れないかもしれませんが、私は「道」を追求します。そして、「道」と一体となれた時、私の人生が本当に有意義なものになると思っています。