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Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
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世界大会とは何か? 未来の極真空手へのメッセージ  その1〜序文

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世界大会とは何か? 未来の極真空手へのメッセージ 

 その1〜序文

 

【とても怖い言葉】

 現在、オリンピックを前にスポーツ関係者のみならず、経済人やメディアの広報活動のなかに、「日本のために〜」という言葉が溢れている。

 しかしながら、「日本のために〜」というような言葉はとても怖い言葉だと思っている。それは、我が国の戦時中、多くの人が国の命令に従い、命を投げ出さなければならなかった。それは、とても理不尽なことだと思う。そんな状況を喚起してしまうのは私だけだろうか。「誰かのため〜」ならまだ良いかもしれない。増田は、自分のことだけを考える自己中心的なやつだと思う人もいるだろう。だが私には、たとえそれがスポーツであっても同じである。否、スポーツなら尚更である。命を投げ出して戦うためには、もっと明確な理由と動機が必要だと思っている。要するに私は、みんながそう考えるからではなく、自分が本当に納得できなければ気が済まない性格なのだ。私は、そんな子供だった。だから学校が嫌いだった。先述したように誰かのために学校へ行くのだと考えたら少しは気が楽だったかもしれない。しかし、学校や勉強は誰かのためにするものではないと思った。断っておくが、私は勉強が好きだった。ただ本当に学校が嫌いだったのだ。本当は何事にも本当に納得できる考え方を、親に提示してもらいたかった。だが、親からも教師からも、誰からも本当に納得できるような答えは帰ってこなかった。それは金沢という田舎で、インターネットもない時代、情報がなかったからだと思っている。だから本を読み、色々と自分で考えてきた。

 

【極真空手と極真会館の未来に向けてのメッセージ】

 そんな中、「ファイト&ライフ」という雑誌から「日の丸を背負った気持ち、覚悟とは?」というようなテーマのインタビューの話があった。私は極真会館の世界大会に四度出場(正確には三度)している。そのテーマに沿うことが聞けると考えたからであろう。私には、幼い頃からの思いと併せ、極真空手と極真会館の未来に向けてのメッセージを発信したかった。そう考えながらも、当日忙しかったのと体調が悪かったことなどで、言いたいことが上手く語れなかった。その日は、悔しくて寝られなかった。木曜日のことである。その日はギックリ腰の症状が出ていた。おそらく、土曜日に極真会館の世界大会に出場する日本代表選手並びに全日本強化選手へのセミナーのために少し無理をした影響かもしれない。また、他の仕事が重なっていた。特に10月に行う予定の合宿には、私の道場の命運をかけている。実は、今回のセミナーは、極真会館の松井館長から2週間前に直接オファーを受けたものであった。即、受けたものの、全日本の監督の木山元世界チャンピオンや代表選手とは交流したことがない。一体、どんなセミナーをしたら良いか、直前まで悩んでいた。これまでの私は、極真空手が良くなることを考え続けてきた。だが、そのやり方が悪かったのか、その思いがいつも空回りし、遠回りをしてきたと思っている。すでに軌道修正するには時間も力も無くなってきている。今回のオファーは光栄だが、大変な仕事だと思った。

 木曜日のインタビュー、土曜日のセミナー、日曜日の交流試合と今週はストレスが限界点近くに達していたと思う。毎日頭痛が酷く、鎮痛剤と水分補給をし、血圧チェックしていた。大変つらい毎日だったが、そのおかげで極真空手と極真会館の未来向けてのメッセージが見えてきた。

 

 【拓心武道メソッドの実験として】

 初めての極真会館でのセミナーは、極真空手の未来に向けて、私が考案したTS方式の組手法と拓心武道メソッドの体験とした。内容は、私の道場生の小学生から大人まで一貫して教える、基本的なものだった。拓心武道メソッドの第1ステップの基本と言っても良いものだ。そんな基本的な稽古が極真会館の世界大会メンバーに役立つか?受け入れてもらえるか?と不安があったが、それしかないと判断し実行した。松井館長の見学があったせいか、皆、真面目に取り組んでくれた。途中、「増田師範がこんなに真剣にセミナーを行っているのに緩い、もっと真剣にやれ」と松井館長から檄が飛んだ。とても嬉しかった。同行した増田道場の荻野先生は感動して熱いものがこみ上げてきたらしい。しかし、当の私は、私の道場生に比べたら十分だよ、と言おうと思ったがやめた。 

 その檄のおかげか、拓心武道メソッドの実験として、良いデータが得られたと思っている。誤解を恐れずに言えば、基本的メソッドの指導において、私の道場生の10倍のスピードでTS方式の組手法を理解してくれたことだ。具体的に計算すれば、30時間かかるところが、3時間のセミナーで伝えられた。極真会館のトップ選手たちだから当然といえば当然だろう。私の収穫は、私の考案したメソッドと組手法は理解できるものだということである。ただし、極真会館の選抜選手がTS方式を良いものだと認識してくれたかどうかはわからない。だが、私は確信した。TS方式には顔面突きのあるヒッティングを体験してもらえれば、同様に10倍のスピードで理解するだろう。ということは、極真空手のトップ選手がヒッティングと拓心空手メソッドを取り入れれば、少なくとも立ち技格闘技の中では最強になるという結果が私には見えた。

 考えてほしい。185センチ以上、体重100キログラム以上の選手たちが、皆、蹴り技が上手く、しかもフットワークが良い。中量級も良かった。逆に軽量級は手数足数の組手なら良いのかもしれないが、おそらく戦略、戦術的なイメージに極真空手特有の瑕疵が見えた。だが、それも拓心武道メソッドで必ず変わる。そう確信した。また、極真空手家の豊富な運動量を質的に転換すれば、ものすごい空手に極真空手が生まれ変わる。おそらく私だけの確信だろう。問題は私以外の人のは、それが鮮明に見えていないところにある。私になぜそれが見えるか。それは簡単である。拓心武道メソッドは、57歳の増田章を変え続けているメソッドでもあるからだ。

 土曜日はセミナーの映像を確認し反省した後、2時ごろ就寝した。日曜日の朝は頭痛と右膝の痛みがあったが、腰の方は楽になっていた。

 

その2に続く


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