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Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
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世界最高の空手道を 〜 利他により自利を得る理法

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 IBMA極真会館増田道場は府中、八王子のゴールドジムで道場を開設しています。この度、「ゴールドジムV10ののいち」が新規オープンするにあたり、増田道場を開設する運びになりました。


 「ゴールドジムV10ののいち」は、日本最大級の総合スポーツジムです。 トレーニングエリア、スタジオ、ヨガスタジオ、プール、インドアテニスコート、フットサルコートに加え、サウナ、露天温泉風呂、室内風呂などの施設がありました。今回、フットサルコート(2面)を全て、24時間利用可能のゴールドジムエリアに改装しました。その広さは、おそらく日本一でしょう。ゴールドジムエリアには、数多くのフリーウェイトトレーニング器具に加え、最新トレーニング器具が設置されています。新しい施設は、5000名ほどの会員に喜ばれるとともに石川県のボディビル愛好者、またスポーツ愛好者に良い刺激を与えるでしょう。

 

【世界最高の空手道を〜コラム From Akira Masuda】

 

 先週の金曜日から土曜日にかけて、ゴールドジムV10ののいち」の内覧会ならびに竣工式に参加してきた。私の星稜高校時代の先輩、元文科大臣、馳浩先生も地元の代議士(衆議院議員)として参加していた。聞くところによると、馳先生の専修大学のレスリングの先輩である尾山氏がV10のインストラクターを務められていた聞いた。馳先生も私も尾山先生の若い頃、インストラクターを務めていた、現在は廃業された永江トレーニングセンターの出身である。私も尾山先生にはお世話になった。今回、70歳を越えた尾山先生も、竣工式に臨席されていた。久しぶりの再会だったが、ボデイビルダーでもあった尾山先生は、「ゴールドジムV10ののいち」を手伝うらしい。それを知って、何かの縁を感じずにはいられなかった。

 

 ともあれ、私は日本でも有数のジムV10の新保社長が空手教室の開設を快諾していただいたことに感謝したい。また、「ゴールドジムV10ののいち」を紹介していただいた、ゴールドジムの運営会社であるスインク・フイットネス社長、手塚栄司氏のご厚情に本当に感謝している。

 

 かく言う私は、野々市市の隣の金沢市で生まれ、幼少期を過ごした。ゆえに、金沢に何らかの形で貢献したいと、長年思い続けてきた。その思いが、今回実現した。しかしながら、すでに還暦近くの年齢だ。かなり体力、気力が衰えている。どこまでやれるかは不安ではある。しかしながら、ここは気力を振り絞り、一番大切な夢の実現に向かいたい。

 

 その夢とは、私を育ててくれた極真空手を「世界最高の空手にすること」である。そのことを私は、大山倍達総裁の前で宣言したことがある。先輩からすれば、なんと不遜なやつだと言うことになろう。だが、私はそのことを念頭にこれまで頑張ってた。しかし、私の思いを真に理解してくれる人はほとんどいなかった。ところが、2年ほど前、極真会館館長松井章圭氏に、その思いを理解してもらえたと思っている。周知のように、松井館長と私は、20数年もの間、対立関係にあった。にもかかわらず、松井館長の方から声がかかり、和解できた。和解に至るまでに、たまには会合を持つこともあったが、ほとんど疎遠であった。和解するに当たり、松井館長と数回会い、長い話をした。そんな中、同じ時代、極真空手に打ち込んだ者同士の友情を再認識、共有できたことが何より嬉しかった。

 

【人間修行の大学】

 これまでの空手修行中、辛いこと、嫌な体験もあった。実は空手を止めようとも思ったこともあったが、映画のような感動体験や嬉しい体験も多くあった。また、10代の頃から挫折感に苛まれ、苦しみ、もがき続けていた私は、苦労かけた親に迷惑をかけたくないとの思いから、早々に大学を諦め、極真空手のチャンピオンになることだけに全てを賭けてきた。

 そんな私にとって極真会館は、多くのことを学ばせ、かつ鍛えてくれた場所だった。同時に私に先輩や後輩、そして仲間を与えてくれ、私を孤独から救ってくれた場所でもあった。まさに人間修行の大学のようなものだった。さらに極真会館の一員で有力な選手であることで、多くの人が助けてくれた。本当に極真会館があればこそ、今の私がある。さらに私は、選手時代のライバル松井氏との対立と和解の経験を通じ、極真会館の仲間は、まさしく学友、家族、そして共に極真空手の価値を高めるために戦った戦友だと感じている。同時にその経験は、その学び舎としての極真会館を次世代により良い形で残さなければならない、という思いの萌芽と言っても良いかもしれない。

 

 そのような経験は、なかなかできることではないだろう。また、大山倍達総裁との思い出の共有と極真会館並びに極真空手のことを考え続けてきた者でなければ、分かり合えないことだと思う。

 

 しかし残念ながら、現在にける極真空手に対する認識は様々である。私は、それらの認識を全て論破したいと思っているが、そんなことは不毛なことだ。ゆえに、増田式の空手修練法によって、極真空手に関する認識を更新させたいと考えている。おそらく、増田式の空手修練法は、極真空手ではないと、非難されるだろう。では、どこに本当の極真空手はあるのだろう。大会に勝つための修練法なのだろうか。また、大山道場時代の稽古法なのだろうか。私は、どれも極真空手ではあるが、どれか一つが極真空手であるといえば、それは間違いだと考えている。なぜなら、増田道場の空手と増田の空手とは異なる。もし、いま現在において、増田の空手を道場生の誰々が知っていると言ったら、「嘘をつけ」「私は道場生に100分の1ぐらいしか自分の空手を伝えられていない」と言うと思うからだ。おそらく、大山倍達総裁も同じではないだろうか。

 つまり、より大事なことは、大山倍達総裁が何を目指していたかを深く考えること。また、それを実現するまで、すべての極真会館道場生の母体である極真会館をより良い形で存続させること。そのことが極真空手を名乗ることに優先されなければならないことだと、私は思う。そのためには、互いが極真会館の存続のために、少しの妥協をし、かつ協力しあうことだ。

 

【極真空手の本質】

 さて、私の道場では、大山倍達総裁が創設した技術で伝統的なものに関しては、あるものは生かし、あるものは保存しようと考えている。ただし、伝統的な技の保存が極真空手の本質ではない。極真空手の本質は、大山倍達総裁の理念、哲学だ。そして夢にあると、私は思っている。ゆえに私はこう考える。「すべからく極真空手家は、大山先生の理念、哲学、夢の本質である、民族、宗教、国家を越えて人類社会を補益する武道、世界最高の空手道の確立を目指すべきだ」と。

 

 繰り返すが、私の道場では大山倍達総裁が残した競技試合を含めた極真空手の伝統的な稽古法を保存するが、それらの稽古法を中心とはしない。私は、伝統的な稽古法を基盤としつつ、増田式の新たな空手修練方法を創設する。その修練方法の眼目は、極真空手の修練を老壮青少のあらゆる年代の人が長く関わり、活用できるよう補完することである。それらの稽古法は、伝統的な稽古法と矛盾しないし両立も可能だ。断っておくが、現在の極真空手の基本や型の稽古、そして組手を行うだけでは、これ以上、極真空手家のの心技体のレベルは向上しないだろう。ゆえに私は、大山倍達総裁がそうであったように、空手武術のより本質的な事柄を考究しつつ稽古していく。それを平たく言えば、護身武道としての空手術と言っても良いかもしれない。だが、以前にも少し述べたように、私にとっての「護身」とは、「護心」でもある。さらに言えば、真理探求を志す、「護真」でもある。それらを包含した修練法が護身武道としての増田式 武道修練法である。

 

【仁、智、勇〜利他により自利を得る理法】

 最後に、私の道場では、大山倍達総裁が言い残した極真精神、理念である「頭は低く、目は高く、口慎んで、心広く、孝を原点に他を益する」を「仁」の具現化として目指したい。次に極真空手の修練を、より合理的、かつ科学的に改良し、体力増進に役立たせたい。また、空手道修練を、より良く考える「智力」を開拓する手段としたい。さらに言えば、真の己(自己)を育てるため、あえて己(自我)を捨てる、「勇気」という徳を伝え、醸成していきたいと思っている。そうして、利他により自利を得る理法を、道場生と共に学んでいくことが、私の主宰するIBMA極真会館増田道場のあり方である。

 

2019-4-6:一部加筆修正

 

 

以下の写真:ゴールドジムV10ののいち

 


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