より深く、より高く〜私の空手道修行の目的
デジタル教本は、空手道の第一歩を踏み出した人のために製作しているのではありません(もちろん、空手道の初心者が活用すれば、絶大な効果があると思っています)。
デジタル教本製作の目的は、空手道の研究をさらに進め、その成果をアーカイブし、将来の承継者に核を引き渡すためにあります。
私は、空手道と言わず、道を求めるものすべて、先人の思いを掘り下げ、かつ吟味し、それを基盤につつも、時にそれを否定しなければならないと考えています。むしろ、否定できるものだけが、より高次化(高いレベル)することが可能なものだと考えています。
その真の意味は、物事や技術をより高次化するとは、あらゆる認識を自己の中で否定(更新)し続けることだと、私は考えているからです。それは、先人、先駆者の価値を否定することとは異なります。むしろ、先人、先駆者と常に向き合い、コミュニケートすることです。私は、大山倍達のみならず、情熱と誠意ある先駆者とは、死ぬまで向き合いたいと考えています。
さて、人間の求めるところは時代とともに変化するようです。また、環境の変化に対応することが、人間の使命だと思います。ゆえに私は「人間として変わらないもの(変えてはいけないもの)=不変のものも探求し、またそれを活かすものとしての普遍性を追求する」という目標を持っています。私は、そのような目標を目指しながら、自己を含め、人と社会により有益な空手道を創出したいのです。それが親、先人に対する報恩であり、私の目指す生き方であり、空手道修行の目的です。
IBMA極真会館空手道デジタル教本は、その目的に協力しつつ共に歩んでいく、同志の育成のためにも製作されています。「簡単な内容から抽象的なものまで」「根拠が確証されているものから確証されていないもの(研究科生のみ閲覧可)」まで掲載していきます。なお、根拠が確証済みのものはもちろんのこと、検証中のものこそ、本来アーカイブする価値のあるものです。
私は今、そんな思いで、膨大な資料、データ、過去の経験、稽古と向き合っています。
最後に、いつかは「生きるという旅」を終えなければならない時が、私にも来るでしょう。デジタル教本の製作は、2年間ほど前から始まったばかりです。始めたばかりの仕事も、私一人では、いつまでやるれかはわかりません。私は、「物事には全力で処する、ただし、やれる時に」というスタイルです。空手道を通じ、良き思い出を共有しましょう。是非、しばらく私とIBMA極真会館空手道にお付き合いください。(増田 章)