【この人達に空手の稽古の楽しさを伝えたい】
私の道場には子供たちのみならず、中高年の方々が少なからずいる。
私も来年、55歳だ。道場生の中には、私より年上で、還暦(60歳)を超える方々もいる。
子供達から見れば、私も含め、もはやおじいちゃんだ。しかし、私の道場の中高年の方々は、皆元気である。否、元気な人しか稽古できないというのが本当かもしれないが‥。
極真空手の稽古は、地味な基本稽古も初めのうちこそしんどいが、慣れてくれば、良い体操になる。ただし、蹴り技は関節に負担をかけるので、少しずつ行うことが必要だ。
私はいま膝の具合が悪い。その原因は、10代の時に痛めた関節の経年劣化と下肢静脈の不良、加齢による筋力や柔軟性の退化だと思う。
身内からは、10代から20代にかけ、常人の数倍もの負荷を身体にかけたことにより、以上の結果を促進したのでは、と言われる。しかし、私の感覚では、身体の訓練をしなければ、中学生の頃に痛めたひざは、もっと早くダメになっていたであろう。
反省するとすれば、下肢の血管の機能が弱いことを踏まえ、下半身のオーバーワークを控え、休養の取り方を工夫するべきだったということだ。
私は現在、鍛錬ともリハビリとも言える稽古を続けている。その意味は、からだの機能を考え、それをより良く生かすことを考え、鍛錬をしているということだ。
そのような状況の中、ある変化が見られる。それは、元気な中高年の方々が道場に現れると、「この人達に空手の稽古の楽しさを伝えたい」「体をより良く生かす方法を伝えたい」と思うようになったことだ。
そのための基本的考えは、怪我はなるべく回避すること(怪我の回避には技術の習得が重要である)。また、少しずつでも良いから、身体機能が向上するように考えることだ。さらに、より長く身体機能が維持できるように、空手修練のカリキュラムの見直しをしている。
稽古後、中高年の道場生に、半分、冗談で言う。「皆さんは、私の研究対象です」「私は、皆さんがより良く身体の身体機能を向上させ、空手が楽しくなるように稽古プログラムの研究を行っているんです」「それが私の生きがいです」
それを聞いて、道場生の一人は、「どうぞ、研究材料にしてください(笑い)」と言ってくれる。
道場生の心と私の心が通い合った瞬間である。
【私のエネルギー源】
ここ数年、私の左膝を執刀してくれた、間瀬先生と、リハビリを担当してくれている佐藤先生に触発されて、バイオメカニクスや運動学等の勉強をしている。
特に、間瀬先生は、膝の名医であると同時に、スポーツ整形に関しての第1人者である。頂いた著書は、何度も見直し、勉強している。
頭もそれを空手理論に活かし、発表したいと思っている。身体の不調を初め、諸問題が山積している中での勉強は大変である。諸問題を早く処理したいが、もう少しかかりそうだ。
私のエネルギー源は、私同様の中高年の道場生の稽古をする姿だ。子供達も歳をとる。いずれは、我々と同様の年齢になるであろう。ゆえに私は、長く空手を続けられるようより良い変革をしたい。現在、アイディアがあり、実験中である。まだ発表できないが、私が指導している中高年には、その成果が現れ出してきている。その成果をしっかりと理論化し確立したい。私には妄想癖があるようだが、現在、そんな夢想をしている。