Quantcast
Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
Viewing all articles
Browse latest Browse all 480

感動体験、2連発!

$
0
0

感動体験、2連発


感動体験その1~バレイ体験

【身体のケアに手間をかける毎日】
 左手術後1年が過ぎた。楽観的に見て、80%ぐらいの回復である。
しかし、運動後のアイシングは欠かせない。選手時代同様に身体のケアに手間をかける毎日である。そうしながらトレーニングを続け、身体機能の低下を少しでも抑えている。身体の機能の低下は、選手なら深刻な問題だ。しかし、人生の終盤戦を意識すれば、様々な学びの契機、その戦いの準備となる。

【取りあえず塩漬け】
 さて、お盆休みから約1ヶ月間続いた、前回のブログで8合目と書いたが、そこからが本当に過酷だった。例えるならば、断崖をよじ登るような執筆だった。それに起因するかは定かではないが、血圧が90まで低下し、ふらふらになった。現在は上昇し楽になった。書籍に関しては、220ページ分ぐらいを書き上げたが、塩漬けにした。出版社のOKがでないからだ。新しい構想で空手家を啓蒙しようという誇大妄想から書き上げたが、私の筆力では伝わらないらしい。最後に詳細な部分を修正しようと思っていたが、構成や出版方法を変えることも視野に入れている。「取りあえず塩漬け?」だ(一時保留)。


【先週の金曜日に念願が叶った】
 現在私は、自分のアイディアの無理なアウトプットをやめて、新たな学びのインプットに努めようと考えている。また「人里を離れる?(妄想?)」ために現環境の整理整頓を進めている。そんな中、京セラの稲盛和夫塾長の門下生の一人である、清水哲太郎先生と森下洋子先生が率いる、松山バレイ団の事務局の多家さんからメールが届いた。

 実は、バレイの身体の使い方やトレーニング方法に興味があった私は、同じ稲盛門下生で、極真空手家の安藤さんが清水先生と仲が良いと伺い、バレイの稽古を安藤さんにお願いしていた。先週の金曜日にその念願が叶った。正直言って、この稽古は一生の思い出となるだろう。それほど、清水哲太郎先生と森下洋子先生は、日本のバレイ界では偉大な存在である。私の心境は、清水先生への弟子入りという感覚に近い。

 補足を加えると、私がバレイの勉強をしたいと考えたのは、八王子スポーツ整形外科の間瀬先生との出会い、また理学療養士の佐藤先生からリハビリを受けたことが大きい。私は長いリハビリ期間の中、バイオメカニクスや身体に関する書籍を集め、勉強した。なぜなら、PTの佐藤先生は私のリハビリを理論的な説明を加えて進めた。その指導には、一般の人には難しい言葉が並んだ。私はその指導について行くために、専門知識を学ばなければならないと思ったのだ。断っておくが、そのような指導は私が望んだことである。通常は、なるべく簡単な言葉で説明をするらしい。私の場合、これを機会に、身体の構造について、もっと深く知りたいと思っていた。佐藤先生は、その私の希望に付き合ってくれたのだ。私が膝の手術後、研究のため集めた書籍の中に、「インサイド・バレイテクニック」というものがある。私はその内容を半分も理解していない。なぜなら、バレイの専門用語や解剖学?などの用語が並んでいるからだ。しかし、バレイという身体を使った表現芸術を行うためには、身体の構造について理解していなければならないということは理解できた。また、私は空手も本来は、身体の構造をしっかりと理解し稽古を行わなければならないと思っている。
また、そのように身体への理解が深まれば、身体の可能性をさらに拡げ、長きにわたって身体と付き合っていけると考えている。バレイの動きは身体の構造に精通していなければ続けられない、ハードな運動である。その上で、心と向き合い、心の素晴らしさ、身体の動きの美しさを音楽などと融合し「調和」を表現していく。そのような芸術がバレイではないだろうか。私はバレイには門外漢ではあるが、武道の動きも、動きの美しさ、リズムなどを生み出し、調和を感じさせるようなものになるべきだと考えている。

【バレイ体験にとても感動】
 話を戻せば、私はバレイ体験にとても感動した。詳細はいずれ書き直したいが、簡単に記しておく。まず、松山バレイ団の方々が稽古の合間、全員でお出迎えしてくれた。そして写真撮影。次に舞台稽古の見学。それから清水先生とのマンツーマンのレッスン。これは一生の思い出だ。日本一のバレリーナ、そしてバレイ団の方々にこのようなもてなしを受けるのは、稲盛和夫門下生であるからだが、また、私が大山倍達先生の創始した極真空手の日本一だからだと思う。改めて、稲盛和夫塾長、大山倍達先生への感謝を感じた。また、「極真空手を最高の空手にする」という志を全うしなければという思いを強くした。道はとても険しいが…。
【バレイのレッスン】
 清水先生のバレイのレッスンは情熱的である。また本質的である。一番大事なことを端的に伝えてくれたと思う(私の想像だが)。1時間30分ぐらいの時間が、あっという間に過ぎた。レッスンは最も基本的なことだったとは思うが、バレイは身体を伸ばすことが大切だと教えられた。また、足の指から手の指先までの意識をしっかり持つことなどを教えられた。レッスンでは、喪失しかかっていた、身体の意識が刺激され、身体のコアが活性化したように思う。下手な例えだが、稽古後、マッサージと同じように身体の血流が促進し、身体のアライメントが整えられたように感じた。バレイの基本レッスンは、シニアの機能低下の予防に最適だ。また、すべての空手家におすすめしたい。


 レッスン終了後、男性バレリーナの演技を見せていただいた。私は思わず、「かっこいい」と拍手していた。失礼だったかもしれないが、本当に男性のバレリーナの演技はかっこいいと思う。以下は、話半分で聞いて欲しいが、私は65歳ぐらいで、簡単なバレイの演技(単独で)とアルゼンチンタンゴの踊りを若いパートナーと踊ってみたいと思っている。断っておくが、私が若い人が特に好きということではない。これは、私が大好きなアル・パチーノの主演映画、「セント・オブ・ウーマン」のワンシーンの影響だ。その映画では、盲目の主人公が、アルゼンチンタンゴを若い娘と踊るシーンがある。そのシーンが私は大好きなのだ。踊りやバレイなど、表現芸術には、生の賛美や精神の解放の意味が見て取れる。それには、目に見えない部分での抑制や努力があると思う。できれば、そのようなことを表現できる老人になりたいと思う。もっとも、近い将来、65歳の方を老人とは言わないだろう(現在も?)。おそらく、今後、新しい概念や定義が生み出されるに違いない。また、65歳から90歳ぐらいまでを人生の新たなステージとして捉えられるような社会の創出を、若い人と壮年、老年が一緒になって考える時代が、すぐそこまで来ていると思う。大仰に聞こえるかもしれないが、日本にはそのような社会を創出する使命があると思う。

 最後に、私は誇大妄想癖があるが、清水先生のパートナーである、森下洋子先生の慈愛に満ちた雰囲気と、その演技に共通して感じるのは、「美しい心」ということだ。心とは抽象的な概念だが、私は心こそが人間の中心だとあえて言いたい。さらに、身体(組織)を通じ、その心を表現できる人が、どの道でも最高レベルの人間だと思っている。本当に清水先生、森下先生、多家さん、また松山バレイ団の皆様、ありがとうございました。今後もバレイの勉強を続けますので、よろしくお願いします。





感動体験その2~みんなで仲良くすることは良いことなのよ!
【全空連が主催するパーティー】
 実はこの日は、もう一つ感動することがあった。私は先日、全空連のオリンピック競技化推進を応援すると同時に、互いの団体活動を尊重し、友好的な関係を築こうという趣旨の松井氏の呼びかけに応じる記者会見に参加した。その辺の詳細に関しては、体調がもう少し良くなったら記したいと考えている。もう少し時間をいただきたい(急がなければならない仕事があるので)。

 その全空連が主催するパーティーが金曜日にあった。松井氏は、全空連の友好団体、国際空手道連盟・極真会館の館長として招待されたらしい。数週間前、松井氏から私に同伴しないかとの誘いがあった。

【仲良くするのが一番】
 繰り返しになるが、今回のパーティーに先立ち、9月の後半、私は松井館長の呼びかけに応じ、幾つかの団体とともに友好関係を結んだ。その理由には、難しいことは何一つない。始めに、改めて記すと言っておきながら、せっかちな性格なので、大雑把に書いておくこととする。

 私にとって一番大切な価値基準は、全空連云々の前に、同じ大山倍達門下として、仲良くするのが一番という価値観である。ゆえに、松井氏がこれを機に、過去のことを水に流し、組織を友好化しないかとの誘いがあったときに、断る理由が見つからなかった。むしろ、松井氏の変化を驚くとともに、私の念願が叶ったとの喜びがあった。

 私は、過去を水に流すというのは、問題を起こした当事者が軽々に口に出すことではないと思っている。また私は、「試合などを通じての交流には、互いの理念等の違いなどもあるし、軽々な言動は慎みながら時を待とう」というような主旨のことを松井氏に伝えたつもりである。なぜなら、そんな話を前提にしたら、最も大切なことが等閑になるからだ。また、和解していない他の極真空手の団体のこともある。さらに私は、極真空手の試合による交流は、もっと仕組みを明確にしてからでないと、行き当たりばったりで、良いものはできないと考えている。私は、松井氏の主旨は各団体の活動内容を尊重しつつ、これからは友好的に付き合おうということだと理解した。そのことに対し、「松井氏には何か魂胆がある」等の見方をする人がいたが、私の心にはそのようには映らなかった。

【極真空手や空手を大切に思う者は】
 私は、大山倍達の門下生で極真空手や空手を大切に思う者は、仲良くした方が良いと思っている。意見の相違は、将来を見据え、空手愛好者以外の目線や社会全体のことを念頭に置きながら、慎重に考えていけば良い。おそらく今の松井氏と私の見識なら、合意形成は難しくないと感じている。また私は、喧嘩をする相手は、空手家ではないと思っている。さらに、喧嘩するのではなく、真剣に向き合い、戦わなければならないのは、人間の欲深さがもたらす、各種のジレンマに対してだ。それが武道人の克服すべきテーマでもあると思う。おそらく、私の言っていることは、「ちんぷんかんぷん」で理解できないという空手家が多いと思う。それは仕方がない。

 今回私は、松井氏の誘いを私への友情と捉え、全空連へのパーティーへ同行することにした。同じ極真空手で育てられた者同士は、家族同然にならなければならないとの理想が私にはある。それが斯界の真の発展につながると思っている。増田はいつも青臭いと思われるだろうが、死ぬまでその思いを持ちながら生きていきたい。また、例え今後、私が人里から離れたとしても、時々はその思いを伝えていきたい。

 あえて記すが、極真会館の分裂後の20年は極真空手界にとって不毛な時間だったと、私は思っている。松井氏も共通の認識だという。私はもう、そのような時間を過ごしたくない。そのように考えている中、全空連のパーティーで感動する体験があった。それは、私が10代の頃、防具空手の試合で対戦した小林先生との再会だ。小林先生との対戦については、拙著「増田章 吾 武人として生きる」で少し書いた。私は、小林先生との対戦後、伝統派の試合方法を研究した。

 小林先生は現在、奈良県の全空連の理事長をされているらしい。職業は私の記憶通り教員だった。昨年、定年を迎えたらしい。小林先生との対戦は30年以上も前のことだ。お互い歳をとったようだ。小林先生は若い頃、精悍な面構えの美男子だったと記憶する。小林先生は、体型は若い頃と変わらず引き締まった感じで、男前ではあったが、頭髪に変化が見られた(笑、すみません軽い冗談です)。


【みんなで仲良くすることは良いことなのよ】
 小林先生は、パーティーの名簿の中に私の名前を見つけ、私を探し出してくれた。先生は、とてもフランクで、昔の印象と変わらなかった。私は、近いうちに伝統派の組手の研究に奈良県に出稽古に伺いますと伝えると、「ぜひ来て」と約束をしてくれた。松井氏が「僕も行くよ」と言う。「本当に行くの?忙しいでしょ」と私が言うと、「日程が合えば行くよ」と言う。最近の松井氏はサービス精神が旺盛なのか、フットワークが軽いようだ。その時、小林先生と同伴していた奈良県連の大木さんという女性空手家の方が、「こんな風にみんなで仲良くすることは良いことなのよ」「絶対に来てね」「ゆびきりよ」と私に小指を差し出した。私は、その女性と小指を絡めて「ゆびきりげんまんをした」。大木さんは、年齢不詳だが、おそらく私と同じぐらいの年齢だろうか?それとも年上か?。それはともあれ、大木さんは、目がまん丸で、顔も体も丸い(失礼)。大木さんは「子供たちに素晴らしい先生がいると紹介したいのよ」「絶対に来てね」と畳み込んできた。私は大木さんの邪気のない、純粋な目と言葉に感動してしまった。まるで、「アルプスの少女ハイジ」にお願いされているような感じだった(下手な例えでゴメンなさい)。私はその時、不覚にも落涙してしまった。なぜなら、打算と見栄を気にして生きている大人たちが多い中、大木さんの心は、年を重ねても美しいままだと感動したからだ。そして他流の空手家の中にも素晴らしい人がいることを実感した。同じく、剛柔会や和道会の重鎮方とも松井氏のおかげでご一緒したが、皆さん懐が深かった。

 笹川先生も紹介していただいたが、私の眼には、志が高く、信念があり、懐の深い方に見えた。ほんの少しだけ、口が悪い気もするが(笑い)。ストレートでオープンな性格なのだと思う。今回、私に良い体験をもたらしてくれた、松井館長に本当に感謝したい。また、お互い身体を大切にして、最低でも後10年は生きなければならないと思っている。

 最後に、この日は感動体験、2連発の影響か熟睡できた。次の日、私は山梨の友人宅へ向かった。紅葉が始まり、富士山麓も美しい季節を迎えている。これからの人生、美しい季節を体験できるよう頑張りたい。








Viewing all articles
Browse latest Browse all 480

Trending Articles