私は数年前に新しい武道スポーツの構想を持ちました。
それは、空手をオリンピック競技にするためにはどうするか?という命題に対する私なりのアプローチでした。
そして、その構想の実現に向け4年前から、フリースタイル空手プロジェクト(FKプロジェクト)を立ち上げました。
私は、オリンピック競技に必要なのは、それにふさわしい理念とそれを具現化するためのルールだと考えました。ゆえに、そのような面からのアプローチを始めました。それは、私一人の研究というものに近い様相でした。
ある人は、ルールの前に空手界の大同団結だと、助言をくれました。
またある人は、空手はオリンピック競技にならなくても良いのだと、私を諭しました。
そのような中、東京オリンピックが決まりました。さらに、追加競技の是認の可能性が出てきて、空手がオリンピック競技になるのではないかとの希望的観測が飛び交っています。
空手がオリンピック競技になれば素晴らしいことです。
しかしながら、今一度申し上げます。オリンピック競技に必要なのは、それにふさわしい理念とそれを具現化する競技ルール(判定基準)なのです。
もちろん、活動を支える資金力や政治的なバックアップなども必要でしょう。
私にはそのどちらの力もありません。
そのような中、私自身の活動方針の交通整理をしたいと思います。
その内容は、私が道場を主宰する意義、FKプロジェクトを実施する意義、さらに私にとっての空手武道の意義などです。
詳細を発表するには、今しばらく時間をいただきたいと思います。
ただ、私が道場を主宰する意義は、オリンピック競技のためではなく、空手と道場を会員一人ひとりに役立たせることだと考えています。また、FKプロジェクトは、ひとまず横におきます。その意味は、プロジェクトをストップするのではなく、全力でプロジェクトを推進することは、時間切れタイムオーバーだということです。今後は、できる範囲でプロジェクトを進めていいきます。
もう一つだけ申し上げれば、先述の活動方針を貫く、一つのテーマがあります。
それは、空手武道をすべての人が有する普遍的な人間性を向上させる教育手段として昇華させるということです。
最後に、私と共に理想の空手武道を追求する仲間を募集したいと考えています。具体的には、私の道場内に特別修練クラスのようなものを設置し、空手の上級者を中心に研究活動を実施するというようなものです。
その具体的な内容や実施決定には、もうしばらく時間をください。
また、私の身体が良くなるには、後1~2ヶ月かかりそうです。必死にリハビリやできることを続けています。
【蛇足ながら】
蛇足ながら、再度フリースタイル空手プロジェクトの趣意を述べた文を掲載します。長文ですが、1読いただければ幸いです。正直言って、熱く夢を語り、少し気恥ずかしい気もします。また、空手はマイナーなものかもしれないと弱気になっております。しかし、マイナーならマイナーで構わないとも思っています。
まずは、自分の立ち位置を明確にして、確実な歩みを実践していきたいというのが、今の私の思いです。
《フリースタイルカラテプロジェクト
~FreestyleKarateProject(FKP)とはIBMAが実施する国際交流事業です》
現在、オリンピック競技に採用されている格闘競技は、レスリング、ボクシング、柔道、テコンドーです。それらの技術は組技か打撃技、どちらか一方に限定されています。その限定により、それら格闘技の技術は向上しました。
しかしながら、徒手格闘とは、本来、相手を打つ、蹴る、投げるなど、打撃技と組み技、両方の技術を自由に駆使する状況を原点とするものです。
フリースタイル空手とは、徒手格闘の原点に還ると共に、これまで無かった打撃技と組み技を融合し修練する、新しい武道スポーツの創出を構想しています。
さらに申し上げれば、フリースタイル空手(TSルール)は、世界中にサッカーに勝るとも劣らないぐらい愛好者を有する“空手”を基盤にしています。なぜなら、TSルールとは、柔道をしのぐ競技人口を有しながら、未だオリンピック競技に選出されていない空手をオリンピック競技にすることを夢見て構想したものだからです。
ここでお断りしておきますが、フリースタイル空手とは、空手流派の代名詞ではありません。新しい武道スポーツの通称です。
また、新しい武道スポーツ(フリースタイル空手)は、異なる流派の人達が、共通のルール(枠組み)の中で“交流”することを目標の一つにしています。その上で異なる流派に内在する普遍性や良点を理解し、互いに尊敬しあうことを目指していきます。
そのルール(TSルール)はシンプルです。これまでの空手競技ルールと異なる点は2つ。先ずは、格闘技術の優劣を打撃技と倒し技による戦闘力の奪取という観点においたこと。もう一つは、戦闘力の奪取、即ち、技の効果を数字に置き換え選手と観客に知らせることです。
先述のような2つの大枠(フレーム)を前提し設定することで、これまで不透明だった勝負判定に至るプロセス並びに判定の材料が可視化されます。
そのことによって、これまで観客のみならず選手にもわかりにくかった空手競技の判定基準が分かり易くなります。そして勝負判定の不透明感が払拭されるのです。
フリースタイル空手とは、多様な背景をもつ人間同士が、全存在を賭して戦うことを前提としています。だからこそ、伝統的な村社会的ルールを採用するのではなく、外部の誰が見ても納得できるルールを新たに構築しました。
ここで少し、ルールについて説明いたします。まず、TSルールは、“一本”や“技有り”などの漢字・日本語で技判定を行なうのみならず、数字(点数)を使って、技判定とその表示を行ないます。
そのことにより、空手や格闘競技がボールゲームのように選手のみならず、観客にも理解し易くなります。例えば、効果1点、有効3点、技有り6点、一本は12点、反則行為による注意は、1点を相手に与えるなどです。試合時間は3~5分(クラス等により異なります)ですが、試合時間内に、12点(一本)を先取すれば、試合は終了します(勝負有り)。また、“組み合い(組技の攻防)”を、3秒間に制限する事により、打撃技と組技、相殺しあうような格闘技術を融合、進化させることが可能となります。
21世紀を迎えた今日も、様々な紛争の火種、問題が世界中に存在します。それらの問題解決には、貧困の撲滅を始めとする、南北の格差是正が必要なのはいうまでもないでしょう。さらに我々は、そこに暴力性と排他性の昇華という課題を付け加えたいと考えています。また、暴力の抑制と地域間の排他性を昇華するためには、国家や人種、民族等の壁を作らない、なんらかの手段が必要だと考えています。その何らかの手段の手がかりが、格闘技と普遍性を基盤にした、新しい武道スポーツの創出という事業です。
その先には、文化の異なる人間でも理解し合える価値観を見つけだすこと。そして、文化の差異をそのまま理解し、受け入れていけるような思想の基盤づくりです。
その基盤づくりこそが、新しい武道スポーツの真の目的です。
我々IBMAが唱える武道人(Budo-Man)とは、個の強さ、向上を目指す人間であると同時に、あらゆる人達と共存共栄を目指す人間です。
また、真の武道人とは、理想実現のための強い情熱を有しながらも、絶えず理性の抑制を保ち続ける、真に強い人間を意味します。
是非、より多くの人達にIBMAの主旨とフリースタイル空手プロジェクトへの参加をお願いいたします。
(IBMAフリースタイル空手チャンピオンシップ東京オープン2012大会趣意書より)
2014/5/24一部修正
2014/5/25一部修正
2014/12/18一部修正
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フリースタイル空手プロジェクトについて
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