【続フリースタイルカラテとは何か?】
フリースタイルカラテとは、「相手を打つ、蹴ること」「相手と組み合い倒すこと」が認められた新しい格闘技スポーツ(武道スポーツ)です。
但し、「相手の頭部(顔面)を手で打つことは禁止」「相手と組み合うことは4秒間以上は禁止」「関節技は禁止」という反則行為を設定し、安全性を担保しています。
以上、ルールの大枠は非常にシンプルです。
特記すべきは、認められた格闘技術の駆使等により、「相手の戦闘力を弱体化させた」と判断された場合、ポイントを付与することです。例えば、相手を打つ、蹴ることによるダメージによるポイントは2種類です。ポイントはそのダメージの大きさにより、技有り5ポイント、一本12点に分けられます。また、相手と組み合い倒すことによるポイントも2種類です。残心がとれず、相手を倒しただけの場合、効果1ポイントを与えます。但し、相手を完全にコントロールしながら倒し、残心(決め)があれば、有効3ポイントです。試合はポイントを12点先取すれば終了です(合わせ1本)。
また、選手が規定の試合時間内に12点を獲得できなかった場合、ポイント獲得数の多い方が勝者となります。つまり、フリースタイルカラテ競技は、選手の格闘能力&技術をポイントの奪取能力により判定する競技です。
さらに安全性の担保を、より強固なものとするために、禁止されている行為に対し、明確に審判を下します。具体的には、反則行為に対し、イエローカードを宣し、相手選手にポイントを付与します。また、危険な行為等には、レッドカードを宣し、反則負けという審判を下します。
以上のようなルール基盤によって、徒手格闘競技がより本格的な徒手格闘(白兵戦)に近づきます。同時にその技術や能力レベルが選手のみならず観客にも分かり易くなります。
また、12点の先取を規定時間内に目指すということは、フリースタイルカラテを詰め将棋のような訓練法に近づけます。また、勝敗が分かりにくい既存のカラテ競技をボール・ゲーム(球技スポーツ)のように分かり易くします。
さらにその訓練により養成された能力は、どのような徒手格闘技にも汎用性のある技術や能力の養成に繋がると私は考えています。
【100回の疑似体験より】
断っておきますが、フリースタイルカラテは倒し技を認めますが、寝技や関節技を認めません。また、打撃技を認めますが手による頭部打撃は認めません。なぜ、禁止規則(ルール)を設定するかと言えば、より本格的な徒手格闘の練習(訓練)を、安全性の担保により、より多く反復可能とするためです。
感覚的ですが、フリースタイルカラテによる本格的な徒手格闘の反復練習の可能性を表現すれば、100倍を超えると思います。一方、「100回の疑似体験より1回の実戦の方が勝る」というような意見があるとも考えています。私は、その意見に一定の同意をしながらも、異論を唱えます。その異論とは、真の実戦とは、今を生きている我々(死んだことのない生身の我々という意味、死んでも生き返る不死身なら別)が語るには、サンプル・データが少な過ぎるということです。上手く言えませんが、我々は幸運にも生きているだけであって、ゆえに、死んだことのない人間は、誰もその生死、即ち実戦の真の姿を語る資格はないのではないかということです。勿論、生死の境の体験をした人はいると思います。そのような人は別かもしれません・・・。
私の意見は、たとえ生死の境というような状況を体験しなくても、多角度的な疑似体験とかなりの量をこなせば、その本質が見えてくるのではないかというものです(私が言いたいことは、実戦、実戦と軽々しく言うなということですが・・・)。
【「残心」を評価することにより】
話を戻せば、フリースタイルカラテは、相手を倒すことのみならず、倒してからの「残心」を評価することにより、寝技の展開を意識させています(寝技を認めないと先述しましたが、私の道場では、フリースタイルカラテを一種の組手法と捉え、寝技や関節技は別に修練させようと考えています~拓真道として・・・)。
また、首を掛けての崩し技並びに倒し技を認め、その技を評価することにより、頭部の防御を意識させます。
さらには、徒手格闘における重要な意識付けとして、「位置取り」という概念を与えています。フリースタイルカラテでは、充分に相手の動きを支配し背後に着いた場合、「背後取り」として評価、ポイントを付与します。
そのような技術を評価するのは、徒手格闘に必要な体さばきや位置情報に関するセンサーを体得させる企図があるからです。また、位置取りのセンス(感覚)は、関節技や絞め技などの駆使にも重要な要素となるでしょう。
補足を加えれば、フリースタイルカラテにおける打撃技は「相手に打撃によるダメージを与える能力」を評価、審判します。また、倒し技は「相手の動きを支配しバランスを奪う能力」を評価、審判します。さらに、背後取りは「相手の動きを支配し、より良い位置を確保する能力」を評価、審判します。
【その本質(エッセンス)に近づく可能性を拡げる道・・・】
最後に繰り返しますが、フリースタイルカラテは、より本格的な徒手格闘(白兵戦)を誰もが体験できるようにするための「基盤」です。同時に選手の技術や能力レベルを選手のみならず観客に分かり易くするための「仕組み」です。
さらに古今東西において創出され、伝えられた、武術(マーシャルアーツ)の技を試し、その本質(エッセンス)に近づく可能性を拡げる道でもあります。
私は、そのような目標を個と多様な他者とが共有すること。また徒手格闘技による、個と他者との交流と体験を、一人ひとりが楽しんでいけるような武道スポーツができたら良いなと考えています。
フリースタイルカラテは、決して難しくありません。相手(仲間)と僅かなスペースがあれば、誰でも参加できます。
私の夢は、この新しい武道であり、同時にスポーツでもある、フリースタイルカラテを通じ、世界中の人達のからだ(心や文化的価値観の基盤としての)をつなぎ、良心(公正な価値観)を結びたいということです。
明日、5月4日は府中で極真カラテの交流試合が行なわれます。その中にフリースタイルのクラスも設けています。今回は、試合が2試合程と非常に少ないですが、6、7月頃をめどに、高田馬場道場とゴールドジム府中道場を拠点に活動を再開する予定です。
より多くの皆さんが仲間に加わって下さることを願っています。
それでは、良いゴールデンウィークをお過ごし下さい。
▼フリースタイルカラテプロジェクトサイト
国際武道人育英会
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