Quantcast
Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
Viewing all articles
Browse latest Browse all 480

自己を進化させる手段として

$
0
0


【他流との交流により、他流の良点を身体感覚として取り入れ、自己を進化させる手段として、フリースタイル空手を確立したい】

5月22日、私の51才の誕生日、大事なセミナーの一つが終了した。
このセミナーには、松濤館、極真空手、フランスIFK・魂道場、フランス真道会、合気道、柔術、フランス拳法新会など、多様な流派の人達が集まった。

ホスト役は、拳法新会である。拳法新会の師範は、フランス極真空手の出身である。

拳法新会は、突き蹴りのみならず、投げ技や関節技、寝技など、様々な格闘技術を取り入れ、新しい武道流派である。


拳法新会からの参加者の多くは、すぐにでもフリースタイル空手の試合を行なえるだけの能力があった。

それは、師範自らが、突き蹴りのみならず、投げ技を技術体系の中に取り入れ、弟子に教えることができるからだ。また、弟子達もそのスタイルが当たり前であり、違和感なく、取り組んでいるからだろう。

セミナーの途中、休憩を入れようとしたら、拳法真会の人達の多くから、休みは取らなくて良いから、もっと技を教えてくれと言ってきた。


私はうれしくなって、通常の倍のスピードでセミナーを進めた。

これまでのフリースタイル空手セミナーは、私の性格の欠陥?から、初心者にはスピードが早く、難しかった。ゆえに今回は、少しレベルを下げて、説明もゆっくりと話すようにと、考えていた。

ところが、ふたを開けてみると、彼らは、飲み込みが早く、貪欲にフリースタイル空手の技を吸収していった。結果、日本で行なうよりもスムーズにセミナーが進行できた。しかも、通訳が必要にもかかわらず・・・。

今後、10月に行なわれる、フリースタイル空手セミナー・フランスオープンに開催に向けて、フランス魂道場と協力して行くことになるだろう。帰国後、正式にIBMAへの加盟の手続きをする予定である。

更に、今回うれしかったのは、松濤館の人達が参加したことだ。
フランスでは、空手と言えば、松濤館空手のことだと言っても過言ではないらしい。組織的にはWKFという組織だ。WKFは世界最大の空手組織である。また、WKFの空手は、新しいオリンピックゲーム、残りひとつの種目の有力候補である。

現在、出版予定の書籍にも書きたいと考えているが、私が伝統空手や松濤館空手の技術や哲学に尊敬の念を抱き、研究してから、実は30年以上も経つ。

ゆえに、フリースタイル空手の基本としている、拓真道の基本概念の中に松濤館空手の基本概念と同じものが数多くある。

例えば、空手における、最も大切なもののひとつに、足さばき(運足)、目付、リズム、呼吸等があること。また、”相手との調和”、“後の先”、更には“出会いを取る”など、10代の頃から、馴染んだ概念だ。

なぜなら、私の先輩に空手協会で空手を学んでいた人がいたことや、恩師である浜井先生が大学で松濤館空手のクラブに所属していたこと、また、伝統派大会で上位入賞のキャリアのある、先生と10代の頃(駆け出しの頃)手合わせをしたことがあるからだ(もちろん顔面有りだ)。

ゆえに極真空手には、「間合い感覚のないこと」「直突きがないこと」等々、また、それらが空手には重要であるということが解っていた。

補足を加えると、先述した”相手との調和”とは、拓真道の独自概念かもしれない。なぜなら、松濤館における調和という意味を私は良く知らないからだ。私が考える、相手との調和、その意味は、「相手とよく調和できるものが、調和を破るものの本質を、いち早く見破り、それを制圧することができる」という戦闘哲学によるものだ。

フリースタイル空手の構想は、私のバックボーンである、極真空手の進化ということに、実は繫がっている(技術のみならず、思想的進化も含めて・・・)。これ以上は、書籍に掲載する関係上、書けない。

今回、セミナーに参加したフランス松濤館の人達は、年齢的にも私と同年齢ぐらい、初老の紳士といった感じの人達だった。しかし、身体は大きく、ひとりは、身長190センチ程あった。

態度は素晴らしく、技も動きも良かった。彼らは日本空手協会の人達だと思う。
なぜなら、彼らの礼法は、日本式の立礼だったからだ。因に、フリースタイル空手拓真道の組手型の礼法も日本式の立礼にしている。

今回、WKFからは2名だけの参加だったが、フリースタイル空手に少しは理解をしていただけただろうか?


私は、フリースタイル空手のルールなら、松濤館に人達も、一緒に組手ができる可能性が高いと考えている。また、松濤館の足さばき等を活かせば、充分にフルコンタクト空手の得意技である、下段蹴りに対しても対抗できるとかんがえている。

このブログを、お読みの方は、なぜ、増田は松濤館の空手に肩入れしているのだと思われるかもしれない。

それは、多くの空手家が自己の流派のみを絶対視し、他から学ぶことをしなくなっているように思うからだ。

さらに私は、他流との交流により、他流の良点を身体感覚として取り入れ、自己を進化させる手段として、フリースタイル空手を確立したいと考えている。

そうして、多様な流派が、公正にオープン(開放的に)に交流すれば、そこに創造性が生まれ、空手が進化すると、私は考えている。







$増田章の『身体で考える』


Viewing all articles
Browse latest Browse all 480

Trending Articles