デジタル空手武道通信 第56号 編集後記から(1月9日発刊)
年末は26日に月例試合で締めくくった。参加者は少なかったが、参加者の上達が見られた。
私にとってはそのことが何より嬉しいことである。
2021年は1年間、毎月月例試合を続けた。コロナ下でも、私達にできること、わずかでも進化しようと思ったからである。
その思いにお付き合いいただいた増田道場生には、感謝の言葉では片付けられない、と思っている。その感謝を表すためにも、私の空手武道理論を完成させたい。
本年2022年は、新しい組手法を進化させるのみならず、10数年前から構想していた「護身技」の修練をスタートさせたい。
断っておくが、護身技の修練を難しく考えないでほしい。私を含め、黒帯一同が、空手武道の価値をより高めていくために、原点に立ち戻り、かつ新たな第一歩、新たなアプローチを試みるだけだ。今、新たなアプローチの実践は有意義なものとなる、と手応えがある。断っておくが、新たなアプローチとは、これまでのあり方を否定するのではなく、活かすための行動だ。
すなわち、極真空手を生かすため。そのためには、手技による頭部攻撃、また投げ技や逆技、獲物(小武器)への対応に関する理解は必須である。
私も含め、人間が過去の習慣に安住したい気持ちはわかる。だが絶対視することは可能性の放棄と言っても良いだろう。私は、絶えず今をよりよく生きるために、これまでの認識を掘り下げ、かつ必要とあらば、自己の認識を更新する。一方、原理や主義を絶対化し、人に強制することは、一人ひとりの心を高め、身体の可能性を拓いていく、私の武道哲学とは相容れない。
やはり、いかなる時代、いかなるジャンルにおいても、自己の他者に対する貢献を考えることだと思う。同時に自己を公共化していくことが重要でないかと思っている。そのためにも、武術を淵源とする空手武道の原点に立ち戻り、その修練の効用を人格陶冶・人間完成の武道として再構築していきたい。
最後に、こんなことを書きたくないが、私の身体はみなさんが思っているほど強くはない。もうそろそろ限界に達するに違いない。だからこそ、今まで以上に時間を大切にしたい。そして命をかけても理想の空手武道を完成させたい。問題は私のコミュニケーション能力が未熟で、皆さんと歩調を合わせるのがうまくないことである。
今年も私自身の未熟を自覚しながら、我が増田道場の黒帯有志と力を合わせ、道場生の誇り、生き甲斐となるような空手武道を共に創っていきたい。