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Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
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組手形とは何か?〜拓心武道メソッド教本用テキスト

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組手形とは何か?

 おそらく、拓心武道メソッドを知らない人に組手形と言えば「それって何?」となるでしょう。子供たちに組手形について大雑把に説明すれば「組手形」とは言葉で言う例文のようなもの、となります。補足して「組手形や組手の中で使われる空手技は言葉のようなものだ」と付け加えます。しかし、そのように言えば「言葉の使い方なんて無限にあるじゃん」「空手の技なんて自由に使えばいいんだ」と思うに違いありません。私はそうではないと思っています。

「言葉を自由に使い相手に自分の意思を伝える」

それはとても難しいことだと思います。もしかすると、言葉の豊富な現代人は言葉を大事にあっかっていないのかもしれません。同様に空手技を使った組手稽古が世界中で盛んになっていますが、それを行う人たちは空手技を大事に扱っているでしょうか。

自己というもの

 例えば言葉をつかった交流(コミュニケーション)とは、単語を相手に投げかける(発話)だけでは十分な意思疎通(意味伝達/コミュニケーション)はできないと思います。前提として、言葉を使う人が言葉の意味を正しく理解し、その意味をつなぎ合わせて意味を構築しそれを伝える。かつ言葉を受け取る側にも同様のことがでできなければ意思疎通は、一方的、かつとても乱暴なものになるに違いありません。そんな意思伝達は、ときに誤解を生じ、かつ他者との歪な交流(コミュニケーション)は、時に自己と言うものを間違って受け取るに違いないと考えています。言い換えれば言葉(記号)のやり取りによって我々人間は他者を人間として理解できる存在になるのだと思っています。難しい話になりますが、自己というものは広義の言語(言葉のみならず身体表現も含めた記号)のやり取りによって形成されるイメージではないか、と私は直感しています。

組手稽古は相手との対話のように

 拓心武道メソッドの組手稽古では組手稽古は相手を打ち負かすことを目的としません。拓心空手武道メソッドの組手稽古は相手との対話のように行います。勝利は目指しますが、その勝利とは自他との協力によってより良い自己の創造ができたということです。裏を返せば他者との協働による自他の創出、すなわち自他共存です。そのためには空手技を言語のように扱います。ゆえに言語に発音が大事なように、身体の使い方がより正しくなるよう心がけます。また言葉と言葉の組み合わせ方を理解していないと、よりよく相手に意味を伝えられません。つまり空手技の組み合わせ、使い方の構成型を学ぶことが組手形の意義です。言語における構文のような構成型を理解することで、より正しい(より良く)空手技を使って組手が行えます。

正しい(より良い)組手稽古とは

 正しい(より良い)組手稽古とは、正しい言語と言語の活用によって、より良い自分を構築していき、かつより良い自他の関係を構築しいく対話形式の組手稽古です。そのための技術と技能の基盤形成が拓心武道メソッドの役割なのです。それが実現すれば、現代における武道が人間性の良い部分を必ず引き出すと思っています。少し難しい話になりますが、拓心武道メソッドにおける組手形の稽古は言語における構文の学習のようなものです。組手形の種類は数百種にも及びますが、それらの大部分はより原理的な組手型の応用形です。組手型とは組手形の基盤となるような形のことです。その組手型を習得することはそんなに難しいことではありません。もしその組手型を習得したなら、難なく多種の組手形ができるようになるでしょう。

 皆さんの能力は正しい理論、考え方で稽古すれば想像以上に向上すると思います。

 

 

 

 

 

 


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