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Channel: 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
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「孟子」と大塩中斎の「洗心洞劄記」

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「孟子」と大塩中斎の「洗心洞劄記」

ブックカバーチヤレンジ第6回

 

 

 私は昔から中国古典に興味があった。だが、そのくせ三国志などの歴史には興味がない。と言うと極端であり、当然、中国古典を勉強すれば、三国志に登場する人たちのエピソードなども目に入る。要するに、頭が悪いのと、空手修行に忙しく中国の歴史までは手が回らなかった。芸能人のことも知らないし、テレビもあまり見なかった。

 

 さて、私が初めて手にした中国古典は「論語」だったように思う。中学生の時、なかなか良いことを書いてあるなと思い購入した。それから論語の本だけでも十冊近くあるだろう。だが「論語読みの論語知らず」だ。また、全ての内容を把握しているわけではない。さらに悪いことに、反骨精神旺盛な私は、途中、孔子よりも老子や荘子の方に惹かれていった。さらに「論語なんて、要するに秩序を形成したい為政者が下の心を縛りつけるものだ」と言うように考えていた。そして韓非子の方が本当だなんて思う次第であった。

 断っておくが、そうは言うものの、これまで幾度と手にとった論語の教えは、私の心の中に収まっている。ただ、それを勧める行為が眉唾なだけである。そこまで言って、ここで一応、謝っておきたい。「論語を勧める人たちは悪い人ではありません」「悪態をついてすみません」。

 

 ただ、失笑を承知で言えば、還暦近くになった私が好きなは、論語より「孟子」だ。周知のように孟子は孔子の弟子である。若い頃の私は「性善説なんてちゃんちゃらおかしい」「荀子、韓非子の方が本当だろう」なんて思うこともあった。今は違う。笑われても、孟子の理想を信じて見たい。

 

 さらに、老荘思想が好きな私が言うとおかしいが、王陽明の陽明学、特に中江藤樹や大塩中斎(平八郎)の思想が好きである。特に大塩の「洗心洞劄記」はお気に入りだ。先におかしいといったのは、大塩は、老荘の思想を嫌っていたとあるからである。大塩は歴史の教科書では謀叛を起こした人物ぐらいにしか紹介されていないが、日本の歴史に影響を与えた吉田松陰や西郷隆盛にも影響を与えたに違いない(時間があれば勉強したいが私の想像です)。 

 

 言うまでもなく暴力に訴えることや死ぬことは良くない。だが大塩中斎のような、勉学と社会経験(与力だったかな)を積み、見識を有しつつも、打算ではない、良知(心の奥底から湧き上がる認識)によって行動する。さらに、その行動が命をも賭さなければならないようなことであってもやる。若い人にはそんな気概を持って欲しい。まず、おっさん(お前)が持てよ、と言われるかな…。 

 

 

 

 

 

ブックカバーチャレンジも、あと1回で終わり。

 

 

 


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