【原宿で・・・】
水曜日の午後、原宿を訪れた。原宿には私の好きな明治神宮がある。若い頃、空手の試合を行なった代々木体育館もある。
またその昔、原宿には知人の飲食店や行きつけのブティックがあった(ブティックとは無縁なイメージの私だが、知人の信用で、その店ではツケが聞いたのだ)。
無骨な私には似合わない町だが、実はよく通った街だ。かといって、知っている場所しか行かなかった私は、原宿のことをほとんど知らない。
その原宿にあるゴールドジムにおいて、元キックボクシングのチャンピオン青木亮選手と総合格闘技の菅原選手とフリースタイル空手について語った。ファイト&ライフという雑誌の企画取材でのことである。
青木選手は、私がトレーニングをするゴールドジムのトレーナーで、いつも仲良くしている。彼は子供の頃、極真空手をやっていたらしく、キックのみならず空手に対して愛情を持っているようだ。すでにプロのキック選手としては引退しているが、新たなチャレンジとして、フリースタイル空手プロジェクトに賛同してくれている。フリースタイル空手プロジェクトに彼が参加してくれたことで、私はとても勇気をもらった。また試合場もとても明るくなった。彼は来年の東京オープンにも参加を決めている。本当に勇気100倍だ。同時に責任も感じている。
他方、菅原選手は、まだ20歳代前半と若い。マスタージャパンという総合格闘技のジムに所属しプロの総合格闘家を目指している。第1回東京オープンでは、キックチャンピオンの青木選手を破り、見事金メダルを得た。
今回、初めて彼と話をしたが、とてもよく物事が見えている。以外にも私と話がかみ合った(51才、初老の男と21才の若者の話がかみ合った)。また、とても実直な人柄を感じた。私は、「フリースタイル空手はプロ選手の練習の場として考えてもらっても良いですよ」「是非参加して下さい」と強引に出場要請をした。勿論、ジムの会長などに許可を得なければならないだろう。しかし彼の所属ジムの会長とはつながりがあるので、来年の東京オープンへの参加のお願いするつもりだ。
詳しい内容については来月発刊のファイト&ライフを手に取って頂きたいが、兎に角、楽しかった。
「誰の心の中にも壁はある」「人間は言葉で考える、ゆえに心の中に壁ができる」「だからこそ、体験でその壁を乗り越えるんだ」
「フリースタイル空手はいろんな人達が交流するシステムとして、壁をなるべく低くしたい」「大事なのは一人ひとりがどのように判断し行動するかだ」
「空手のルーツは間違いなく、クンフー(中国武術)だと思う」
「私はクンフーが今、面白いと思っている」
「日本人格闘家がムエタイの技(首相撲やテイクダウンのための技)を使わないのは不思議だ」
「多様な武術、文化を尊重し、その良い点を取り入れ融合していく」
「いろんな人達が自由に交流できる方が良いと思わない?」
「いろんな技術を試すことは楽しいでしょ?」
取材後、二人と原宿でお茶を飲んだ。そして先述のような「言葉」をマシンガンのように彼らに投げかけた(笑い)。青木選手は接客業(?)をしているのでおとなしく聞いていた。一方の菅原選手は、さすが総合格闘家だ。自分の考えを投げて来る。異種格闘技戦(?)は望むところのようだ。楽しかった(言葉のキャッチボールが・・・)。
蛇足ながら書き留めたい。フリースタイル空手の構想は、私の人生の中から、また魂から内発的に湧き上ったものだ。
口の悪い友人からは、「お前は頭が悪い」と馬鹿にされた。更に畳み込むように、「人の意見を先ずは受け入れろ」と。私は「聞いた風なことを抜かすな」と思ったが心の中で封印した(なぜなら徹底的にやり込めなければならなくなるから・・・。口は悪いが私はその友人が好きである)。残念ながら、そんなことを言う者には、死ぬまで私の考えは理解できないであろう(残念ながら)。
身内には申し訳ないが、フリースタイル空手の構想は利害、損得抜きだ。端なっから・・・(皆さん、私の友人の云うことは正しい?)。
思い起こせば20年程前、「極真空手を最高の空手にしたい」と、私は師の前で宣言した。
極真空手が最高の空手となるには、日本のため、極真会のためということに止まってはならない。空手や武道を手段・道具に四海(世界中)のため、斯界(武道会全体)のため、社会全体を益するという志、思想が必要だと思っている。以下は私の尊敬する先達、吉田松陰の言葉である。私が絶えず傍らにおいておきたい言葉だ。
【吉田松陰の言葉】
『かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂』
『世に認められるかそうでないかは、天命による。自分にとってはどうでもいいことである。自分が楽しいことをして楽しむ。それだけで満足なのだ』
『何事においても出来ないということはない。それは行動していないだけだ』
最後に、25年来の知己である、イー・ファイトの熊久保さんの代役で、スポーツライターの布施剛治さんが記事を書いて下さると言う。
布施さんは優れたスポーツノンフィクション?(何というかわからない)の著作がある一流のライターだ。出来上がりが楽しみである。布施さん忙しいところ、ありがとうございました。
【追伸】
昨日の稽古後、インテリの道場生と話をして考えたことがある。
「良い体験」を得ることが、「悪い体験」による心の壁、心傷を更新し、癒すのではないか。
フリースタイル空手のルールと理念は、多様な歴史を有する人間の心を解き放ち、人間は皆、仲間なんだという認識を与えられるように考えてある。私は格闘技の愛好者に良き体験を与えたい。それが斯界の発展に貢献するはずだ。
そのために私は、日々、すべてを更新し続けるだろう。
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原宿で・・・
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