ようやく、フリースタイル空手のルールブックの修整が終わった。
年末から正月に掛けて、七転八倒の苦しみだった。
ヨーロッパの仲間から、ルールブックの翻訳版を依頼されているが、事はそんなに簡単ではない。
先ず、ルールブックは、90条以上あり、A4で30ページ近くの量になる。
ゆえに翻訳には、数十万の費用がかかる。
ルールブックの翻訳に際し、なるべく質の高い状態で、修整の必要がない状態にしたかったので、昨年の大会の後、問題点をチェックし続けた。問題点については、すべてを書くとかなりの量になるので書かない。かといって、問題点が多かった訳ではない。
数カ所どうしても検討しなければならない箇所があり、そこをどのようにするかを、迷いに迷っていた。
因に、ルールブックは、初めて作成したバージョンから数えて、41バージョンにもなる。つまり、41回書き換えたという事だ。400時間以上は費やしただろう。
その間、審判委員の荻野氏、藤島氏、池本氏、審議委員の大森氏に協力頂いた。
その問題点もなんとか解決し、ルールブックがほぼ完成した。後は翻訳し、海外の仲間に送るだけだが、翻訳に関して、強力な助っ人が現れた。帰国子女で、大手会社で翻訳の仕事をしている道場生だ。彼が翻訳をしてくれる事になった。
これまで、道場生に翻訳を頼む事は憚られたが、お願いする事にした。本当に有り難い。
ルールブックには、フリースタイルのみならず、極真スタイルのIBMA方式も掲載されている。私は、その極真スタイルとフリースタイルの2つを持って、世界中に存在するフルコンタクト空手愛好者と連携したいと考えている。他団体との連携について、様々な手法があるだろうが、私は、懐に、善き理念と具体的な提案なければ、交渉する気にはならない。なぜなら、連携のための交渉に必要なのは、利害の調整だと考えるからだ。また、その利害の調整は、組織運営も含め、どのようなルールを共有するかに行き着くと考える。
併せて、新しい武道スポーツを普及する仲間が集まるためのルールを起草した。それも英語に翻訳し、告知する。
これで、ようやく自分の道場の仕事と教本づくりを始められる。
さて、昨年行なわれた、フリースタイルの大会動画を、追加アップした。
今回は、中量級で優勝した菅原選手と青木選手の試合、中量級で準優勝したマティア・カターニ選手と菱田選手の試合だ。
以上の4選手は、全員優勝候補だったと思う。試合内容は、本当に甲乙つけがたい。
フリースタイル空手もルールの制約の中での競技だ。ルールが変われば、勝敗も変わる事もあるだろう。しかし、大事な事は、そんな事ではない。
テイクダウンによるポイントが認められる事で、ただ前に出るだけというような戦い方ではなくなった。そして、互いに相手の出方を伺い、技を繰り出していた。つまり、よりインサイドワークが活発になっているという事だ。菅原選手対青木選手の試合には、その様子が特に伺える。
おそらく、彼らがフリースタイルの練習を継続してくれたなら、フリースタイル空手の理想的な動きに近づいていくだろう。
また、菱田選手について、彼は今回、入賞を逃したが、決勝に勝ちあがれたと思う。ただ、試合時間等のルールの問題で、延長戦に入り、集中力が僅かに途切れた感がした。本戦の集中力を維持できれば、決勝に残ったと思う。
フリースタイル空手は、僅かのミスで、ポイントが奪われる可能性がある。それは、倒し技を採用したからだ。
これまで、頭部打撃を限定したフルコンタクトの試合では、僅かのミスが負けに繫がると言う緊張感は、優れた上段回し蹴りを持つ選手の試合にしか生まれなかった。
私は、この緊張感とインサイドワークをフルコンタクト空手試合に創出したかったのだ。
そこが私が大事にしている部分だ。競技には、力やスピード、スタミナの養成のみならず、ヘッドワークの要素が必要だと言うのが、私の持論である。そして、そのような格闘技スポーツを創出したいというのが、私の夢だ。
これから、先述の試合に関する、評論をしたいと思う。もう少し、お待ち下さい。
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フリースタイル空手、ルールブックの完成
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